防災の資格と仕事

防災士とは?何ができる資格なの?試験の日程や問題、合格率は?

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防災士とは,試験,合格率

近年、東日本大震災や熊本大地震といった災害の影響で人々の防災意識が高まる中で、防災士が注目されるようになってきました。

防災士は、防災に対する意識と一定の知識・技能を持っていることを認証する民間の資格です。

この記事では、防災士の概要、防災士ができることと役割、防災士の試験について紹介します。

防災士とは

防災士とは、NPO法人(特定非営利活動法人)「日本防災士機構」が、防災に関する一定の意識、知識、技能を持った人を認証する民間資格です。

日本防災士機構による防災士の定義は、以下のとおりです。

゛自助゛゛共助゛゛協働゛を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを、日本防災士機構が認証した人です。

引用:防災士について-日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進

防災士制度の背景と沿革

防災士制度は、大規模災害発生時は行政主導の救助救出活動などが遅延・制限されるという阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、民間人の防災リーダーを養成する目的で創設された制度です。

防災士制度創設までの主な経過は、以下のとおりです。

  • 1995年1月:阪神・淡路大震災が発生
  • 1995年4月:防災問題研究所が発足
  • 1998年12月:防災情報機構が発足
  • 2002年3月:日本防災士機構設立総会が開催
  • 2002年7月:日本防災士機構が内閣府に認証される
  • 2003年9月:第1回防災士資格取得試験実施(防災士第1号の認証が同年10月)

防災士の数(2017年1月時点)

  • 防災士認証者:124,034人
  • 日本防災士会会員:7,700人

比較的新しい資格にも関わらず認証者が12万人を超えており、非常に勢いのある資格であることが分かります。

防災意識の高まりに加え、全国各地の自治体が防災士養成事業に参加していることも、防災士資格の後押しになっています。

防災士資格を取得している人

企業や団体、自治体の防災担当者や危機管理担当者は、職務上、防災士資格の取得を求められることがあります。

一方で、町内会や地域の消防団の参加者や、地域の役に立ちたいという意欲が高い人、被災経験がある人が自発的に取得することも多いものです。

防災士ができること、防災士に求められること

防災士は、民間資格です。

防災士と認証されても、国家資格のように特定の権利・義務が発生するわけではなく、資格を持っているからといって就職が有利になることもありません。

しかし、防災士と認証されることで、防災に対する高い意識、知識、技術を持っているとみなされます。

災害が発生していない時は、所属する職場、団体、地域において、防災コミュニティの形成と連携強化、地域密着型の防災・減災意識の啓発、防災訓練の推進、防災知識の普及などに努めます。

また、防災計画の企画立案に参加するよう要請されることもあります。

災害発生時には、消防隊や自衛隊が到着するまでの間、被害拡大を抑えるために避難誘導や救助活動、避難所の監督などを行います。

また、消防隊や自衛隊の到着後は、その指示に従い、ボランティアなどと協働しながら被害の拡大を抑えるための活動に従事します。

防災士の試験

防災士になるには、以下の手順を踏むことになります。

 ①日本防災士機構が認証した研修機関が実施する「特設会場において専門家講師の講義による12講座(1講座60分以上)以上の受講」及び「研修レポート等」の提出による研修カリキュラムを履修して「履修証明」を取得すること。

 ②前項研修講座の履修証明を取得した者は、日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」を受験し、合格すること。(受験料=3,000円)
 ③全国の自治体、地域消防署、日本赤十字社等の公的機関、またはそれに準ずる団体が主催する「救急救命講習」を受け、その修了証を取得すること。 (なお、前項研修講座に救急救命講習が含まれている場合は、講習により修了証が取得出来る。)
 ④上記3項目の証明書を取得することにより、日本防災士機構への「防災士認証登録申請」を行うことが出来る。(申請料=5,000円)

引用:防災士になるには(手順と手続きについて)-日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進

日本防災士機構が認証した研修機関は、現時点では「防災士研修センター」のみです。

防災士研修センターが全国各地で防災士研修講座を開催しており、防災士になるにはその講座を受講することになります。

防災士研修講座の申し込み

申し込み方法は、インターネットもしくはFAXです。

いずれの場合でも、防災士研修センターのホームページにアクセスし、受講を希望するコースの日程を指定して、申し込みフォームに記入して送信します。

防災士研修講座の費用

費用は、防災士研修講座受講料49,000円の他、試験の受験料、資格認証登録料などを含めて約61,000円かかります。

自治体によっては、防災士の資格取得を奨励して助成金制度を設けているところがあるので、住んでいる地域の自治体に事前に確認してください。

申し込みから研修講座参加まで

研修講座を申し込んだ後、研修講座3~4週間前に教材(防災士教本)が届きます。

教材で自宅学習を行うとともに、教材に添付されている履修確認レポートを作成します。

レポートの提出は、研修講座当日です。

研修講座の日程と内容

研修講座は、2日間行われます。

2日間の間に、60分以上の講座を12講座受講する必要があります。

主な内容は、以下のとおりです。

  • いのちを自分で守る:防災士の役割、災害発生時の対応など
  • 地域における活動:地域の防災活動、行政の平時の防災対策と災害時の対応、避難所の開設・運営など
  • 災害発生の仕組み:自身、津波、火山噴火、風水害、土砂災害の発生メカニズムなど
  • 災害に関する情報:気象予報、気象警報・注意報、災害報道、ハザードマップなど
  • 減災や危機管理の新たな方法:危機管理の基本概念、企業の防災活動、地域協力など
  • 命を守る方法:応急手当、救命手当の基礎知識など

また、研修講座が開催される地域に応じた内容が盛り込まれることも多くなっています。

防災士資格取得試験の問題など

試験は、研修2日目の最後に行われます。

  • 形式:選択(三者択一)
  • 内容:30問
  • 出題範囲:教材(防災士教本の記載内容全て)
  • 時間:50分間

7割(21問)以上に正答すると合格です。

不合格の場合は、試験日の10日前までに防災士研修センターの担当窓口に連絡することで、再受験できます。

防災士資格取得試験の合格率

公表されていません。

受験者は、「教材と研修講座の内容を一通り理解していれば問題なく解ける問題ばかりだった。」と答えています。

救急救命講習の受講

防災士資格を取得するには、消防署や日本赤十字社などが主催する救急救命講習を受講し、応急手当や救急手当などの技術を習得する必要があります。

資格取得の条件となる講習としては、消防署が主催する「普通救命講習Ⅰ」もしくは「普通救命講習Ⅱ」や、日本赤十字社が主催する「救急法基礎講習」が有名ですが、他にもたくさんあります。

詳細は、日本防災士機構のホームページで確認してください。

防災士資格登録認証申請

①研修受講、②試験合格、③救急救命講習受講の要件を満たしたら、防災士資格の登録認証申請を行います。

申請が受理されると、申請から2~3ヶ月程度で防災士認定証が届きます。

参考:日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進防災士研修センター~防災士資格取得研修講座