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災害時の身体障害がある人への支援は?車いすの使い方と移動は?

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災害時 障害者 車いす 支援

身体障害(肢体不自由)がある人は、災害発生時に避難行動を起こすのが遅れたり、思うように身体が動かせずに逃げ遅れたりすることがあります。

また、自力で移動することが難しい人もおり、安全に避難するためには、周囲の支援が必要不可欠です。

しかし、「車いす使用者をマンションの上階から避難させるにはどうすれば良いのか。」、「寝たきりの人をどのように運べばよいのか。」など具体的な対応が分からず、支援を躊躇したり、適切な対応ができなかったりすることが少なくありません。

災害発生時、身体障害(肢体不自由)がある人を、どのように支援できるのでしょうか?

この記事では、災害発生時の障害者支援のうち、身体障害(肢体不自由)がある人の支援について紹介します。

身体障害と肢体不自由とは

身体障害とは、生まれつきもしくは事故や病気の後遺症などが原因で、身体の機能の一部もしくは全部に障害がある状態です。

身体障害には、以下の障害が含まれています。

  • 肢体不自由:手足など身体の一部もしくは全部に障害があり、本来の機能が発揮できない状態
  • 脳性麻痺:脳の損傷によって、身体の一部もしくは全部が障害され、本来の機能が発揮できない状態
  • 視覚障害:目で情報を取り入れることができない、もしくは難しい状態
  • 聴覚障害:耳で情報を取り入れることができない、もしくは難しい状態
  • 内部障害:心臓、腎臓、肝臓、呼吸器、ぼう胱・直腸、小腸の機能障害や、HIV による免疫機能障害
  • 呼吸機能障害:肺、気管、気管支など呼吸器の機能障害

肢体不自由は、身体障害の一つです。

障害されている部位や障害の程度は一人ひとり差があり、手や足の機能が障害されている人もいれば、全身の機能が障害されている人もいます。

身体障害者(肢体不自由)の障害特性

肢体が不自由な人は、移動、食事、入浴、排せつ、更衣といった日常的な動作が困難、もしくは行動するのに時間がかかります。

障害されている部位や障害の程度によって、行動が制限される範囲に大きな差があります。

身体障害者(肢体不自由)が災害時に困ること

肢体が不自由な人は、障害の程度が重いほど、災害による不安や命の危険を強く感じやすく、動揺して身動きがとれなくなったり、悪い情報ばかりを受け取って避難をあきらめたりすることがあります。

また、平時は徒歩や杖・車いすを使って移動できる場所でも、災害によって路面の損壊や落下物の散乱が酷いと、移動が困難になることがあります。

全身の運動機能が障害されている人の場合は、家族や介助者の支援がないと避難行動をとることができません。

災害時の身体障害者(肢体不自由)の支援

肢体が不自由な人の基本的な支援方法は、以下のとおりです。

身体障害者(肢体不自由)の支援1:支援の要否を確認する

肢体が不自由な人に会った場合は、積極的に声をかけて、支援の要否や必要な支援を確認します。

障害があることが明らかな人でも、家族や介助者がそばにいたり、すでに救助要請を出していたりしている場合もあるので、勝手に支援を始めるのは止めましょう。

本人が支援は必要ないという意思を示した場合は、無理強いをしないでください。

身体障害者(肢体不自由)の支援2:支援を申し出る相手を間違えない

家族や介助者がそばにいる場合でも、まずは本人に支援の要否などを確認するのが基本です。

支援する人と家族などが勝手に話を進めると、本人がないがしろにされたと感じたり、無力感を抱いたりすることがあり、避難や避難所生活に支障が出ることがあります。

一方で、本人が重度の知的障害や精神障害の場合は、家族や介助者に確認します。

身体障害者(肢体不自由)の支援3:避難誘導では移動手段を慎重に選択

災害発生時は、路面の状態や障害物などの影響で杖や車いすが使えなくなる場合があるので、状況を確認して慎重に移動方法を検討します。

平坦な道を歩くのがやっと、自力移動が困難、移動には杖や車いすの使用が必要といった人を避難誘導する場合は、担架に乗せて移動するのが安全です。

担架が用意できない場合は、毛布やシートに乗せたり、2人以上で抱えたり、おんぶしたりして移動します。

身体障害者(肢体不自由)の支援4:避難所生活では移動や日常生活動作の介助を中心に行う

移動に杖や車いすを使用したり、周りの人の支援が必要だったりする人がいる場合は、出入り口やトイレまでの動線について、車いすなどが通ることができる広さの通路を確保します。

自力で歩くことができる人でも、なるべく段差や障害物が少ない場所を見つけて誘導します。

また、必要に応じて、本人の希望を確認しながら、腕や肩を支えるといった介助を行います。

障害の程度や本人の希望に応じて、日常生活動作の介助も行います。

家族や介助者がいる場合は補助に回り、本人が一人の場合は、周りの人が分担して支援するようにしましょう。

車いす使用者の移動介助

避難所で車いす使用者の移動介助を行う場合、安心安全な移動のための留意点を覚えておきましょう。

なお、避難誘導時、路面の状態によっては車いすを使用できることもありますが、ケガや事故の危険を考慮して慎重に判断する必要があります。

車いす使用者の移動介助の基本

  • 車いすを止める時や、車いすから離れる場合はブレーキをかける
  • 車いす使用者の手足が周りにぶつからないよう注意する
  • 方向転換は、一旦止まってから行う
  • 「動きますよ」、「止まりますよ」、「右に曲がりますよ」などとあらかじめ声をかける

平地の移動

  • 路面の状況を車いす使用者に伝える
  • 移動中に使用者の身体が傾いたら、姿勢を治す
  • 凸凹が多い道では、ティッピングレバーを踏み込みながらハンドルを押し下げ、前輪を持ち上げて移動する

車いすで段差を上る

  1. 使用者に段差を上ることを伝える
  2. 車いすを段差の正面に向くよう移動させる
  3. ティッピングレバーを踏み込みながらハンドルを押し下げ、前輪を持ち上げる
  4. 3.の状態で前進し、前輪を段差の上に下ろす
  5. 後輪を段差につけて押し上げる
  6. 使用者の姿勢を治す

車いすで段差を下る

  • 使用者に段差を下ることを伝える
  • 段差に背を向ける(段差を下りる時は後ろ向きで移動する)
  • 後輪を一段下の段に下ろす
  • ティッピングレバーを踏み込みながらハンドルを押し下げ、前輪を持ち上げる
  • 4.の状態で後退し、前輪を一段下の段に下ろす
  • 使用者の姿勢を治す

車いすで坂道を上る

  • 使用者に坂道を上ることを伝える
  • 車いすにもたれかかるようにして押す(車いすは前向き)
  • 使用者の姿勢を治す

車いすで坂道を下る

  1. 使用者に坂道を下ることを伝える
  2. 車いすを後ろ向きにして、足元や後方を確認しながら、ゆっくりと下る
  3. 使用者の姿勢を治す

車いすで階段を上る

  1. 自分を含め、支援する人を4人集める
  2. 車いすを階段の正面に向くように止め、ブレーキをかけて後輪を固定する
  3. 使用者に背もたれに寄りかかってもらう
  4. 支援する人は、「逆手」で、ハンドル、アームレスト(ひじ掛け)、後輪、フットサポートパイプ(足置き部分につながるパイプ)を持つ
  5. 使用者に声をかけた上で、車いすが水平になるように持ち上げて移動する
  6. 使用者の姿勢を治す

車いすで階段を下る

  1. 自分を含め、支援する人を4人集める
  2. 車いすを後ろ向きに止め、ブレーキをかけて後輪を固定する
  3. 使用者には背もたれに寄りかかってもらう
  4. 支援する人は、「逆手」で、ハンドル、アームレスト(ひじ掛け)、後輪、フットサポートパイプ(足置き部分のパイプ)を持つ
  5. 使用者に声をかけた上で、車いすが水平になるように持ち上げて移動する
  6. 使用者の姿勢を治す

2人で階段の上り下りを行う場合は、一人がハンドル、もう一人がフットサポートパイプの上を持って移動させます。

3人の場合は、それぞれがハンドル、フットサポートパイプの上、フットサポートパイプの下を持ちます。

車いすで大きな溝を越える

なるべく違う経路を探したいものですが、他に経路がない場合は、車いすで階段を上り下りする時と同じように、支援する人が2~4人で車いすを持ち上げて、慎重に移動させることになります。

階段と違って、支援する人の足場が不安定な場合も多いので、できるだけ4人で車いすを持ち上げるようにしてください。

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