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CBRNE災害とは?NBC災害との違い、具体例と対応は?

CBRNE災害

災害対策は、自然現象だけによる災害に備えるだけでは不十分です。

例えば、東日本大震災発生時には、地震動と津波によって福島第一原子力発電所で放射性物質の放出を伴う事故が発生しました。

また、地下鉄サリン事件、世界同時多発テロやその後の炭そ菌テロ、感染症のパンデミック、0157の流行など、自然現象によらない災害が世界各地で発生しています。

これらの災害はCBRNE災害と呼ばれ、甚大な被害をもたらす災害として対策が講じられています。

この記事では、CBRNE災害の概要、NBC災害との違い、CBRNE災害の具体例、CBRNE災害の対応について解説します。

CBRNE災害とは

CBRNE災害とは、特殊災害のうち、Chemical(化学)、Biological(生物)、Radiological(放射性物質)、Nuclear(核)、Explosive(爆発物)に関する災害の総称です。

分類 具体例
C(化学) VX、マスタード、サリン、塩素ガスなど
B(生物) 炭そ菌、ペスト、天然痘など
R(放射性物質) 原発事故など
N(核) 原子爆弾など
E(爆発物) 可燃性ガス、TNTなど

CBRNEいずれか一つが原因で発生することもあれば、複数の原因が絡み合って発生することもあります。

CBRNE災害はNBC災害から派生したものであるため、NBC災害の概要とCBRNE災害との違いについても触れておきます。

MEMO

特殊災害:人為災害が広域化したもの(原子力発電所や石油コンビナートの事故など)、人為災害が広域災害化したもの(トンネル内車両・施設事故、重油流出事故など)、自然災害によって引き起こされたもの(林野火災など)の総称

CBRNE災害とNBC災害の違い

NBC災害とは、N(Nuclear、核)、B(Biological、生物)、C(Chemical、化学)に関する災害の総称です。

NBCは、本来は国家が保有する大量破壊兵器)の分類(核兵器、生物兵器、化学兵器をまとめてNBC兵器という。)ですが、徐々に核・生物剤・化学剤などが絡むテロや事故、災害も含めてNBC災害として捉えられるようになります。

また、無差別テロなどの増加・多様化しそのリスクが身近になる中でCBRNE災害という概念が用いられるようになりました。

CBRNE災害では、核爆発と放射性物質による被害を分類する必要から核から放射性物質が分離され、爆発物テロなどによる災害が加えられています。

現在は、大量破壊兵器よりもテロ対策や民間防衛などが取り上げられる機会が多くなったため、先進国を中心として世界的にはCBRNE災害の方が一般的になっています。

ただし、日本においては現在もNBC災害が用いられることが多く、行政のウェブサイトなどもNBC災害を使用しているところが大多数です。

CBRNE災害の特徴と具体例

CBRNE災害の具体例について、各分類ごとに確認しておきます。

CBRNE災害:Chemical(化学)

CBRNE災害(Chemical)の特徴は、材料である化学薬品の入手が比較的簡単であること(テロの場合)と、短い時間広範囲の人に被害を与えられることです。

CBRNE災害(Chemical)の代表的なものは、松本サリン事件や地下鉄サリン事件です。

松本サリン事件

1994年6月27日、長野県松本市の住宅街で、オウム真理教の教徒らが神経ガス「サリン」を散布した事件

被害:死者8人、重傷者660人

地下鉄サリン事件

1995年3月20日、東京都の地下鉄車両内で、オウム真理教の教徒らが神経ガス「サリン」を散布した事件

被害:死者13人、負傷者6000人以上

いずれも、一般市民を狙って化学兵器レベルの毒物が使用された世界に例を見ない事件であり、CBRNE(当時はNBCの概念が主流)対応の重要性を痛感させる事件となりました。

CBRNE災害:Biological(生物)

CBRNE災害(Biological)の特徴は、材料が微量でも培養して増やせることと、気づきにくいこと(目に見えず無臭であるなど)です。

CBRNE災害の例としては、雪印集団食中毒事件を挙げることができます。

雪印集団食中毒事件とは、2000年6月から7月にかけて、雪印乳業の乳製品によって発生した集団食中毒です。

6月末時点で食中毒の疑いがある旨の通報が相次いでいましたが、工場側の対応が遅れました。

その結果、結果として、大阪府、兵庫県、滋賀県、和歌山県など近畿地方を中心に約15000人の被害者が発生するという未曽有の集団食中毒事件に発展しました。

CBRNE災害:Radiological(放射性物質)

CBRNE災害(Radiological)の特徴は、他のCBRNE災害と比較して被害の規模が広範囲かつ長期間にわたるリスクが高いことです。

CBRNE災害(Radiological)としては、東日本大震災発生時における福島第一原子力発電所の事故が代表的です。

福島第一原子力発電所事故とは、2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の地震動(地震の揺れ)とそれに伴う津波により、福島第一原子力発電所で発生した原子力事故です。

チェルノブイリ原子力発電所事故と並び、INES(国際原子力事象評価尺度)の最大レベルであるレベル7に分類されています。

CBRNE災害:Nuclear(核)

CBRNE災害(Nuclear)の特徴は、Radiologicalと同じですが、より被害が広範囲かつ長期間にわたります。

CBRNE災害(Nuclear)としては、第二次世界大戦中における広島市と長崎市への原爆投下があります。

広島市への原爆投下

1945年8月6日、アメリカが広島市へ原子爆弾を投下

被害:約14万人が死亡、約56万人が被爆

長崎市への原爆投下

1945年8月9日、アメリカが長崎市へ原子爆弾を投下

被害:約7万5000人が死亡、約75000人が負傷

CBRNE災害:Explosive(爆発物)

CBRNE災害の特徴は、個人でも簡単に材料を集めて爆発物を製造できることです。

CBRNE災害(Explosive)としては、ボストンマラソン爆弾テロ事件があります。

ボストンマラソン爆弾テロ事件とは、2013年4月15日に、ボストン市において、第117回ボストンマラソン競技中に発生した爆弾テロ事件です。

ボストンマラソンのゴール付近に位置するコプリー広場において2度の爆発が発生し、3人が死亡、282人が負傷しました。

日本における爆発物によるテロとしては、三菱重工爆破事件を挙げることができます。

三菱重工爆破事件とは、1974年8月30日に発生した、東アジア反日武装組織「狼」が起こした無差別爆弾テロ事件です。

連続企業爆破事件の一つであり、東京都千代田区丸の内という大都会で発生し、死者8人、負傷者376人が出ました。

CBRNE災害の対応

CBRNE災害が発生した場合の対応について、行政と個人に分けて解説します。

CBRNE災害の対応(行政)

CBRNE災害が発生した場合、行政はゾーイング、防護、除染などの措置を行い、被害拡大防止や被災者の救助救護を行います。

措置 具体例
ゾーイング

災害発生現場と後方地域を3つに区分

ホット・ゾーン:危険物(放射性物質など)が存在する地域

ウォーム・ゾーン:危険物はないが汚染された人や物が存在する、または、存在するおそれのある地域

コールド・ゾーン:危険物や汚染から隔離された地域

防護

CBRNE災害対応車は、レベルA~Dまでの4段階の危険度に応じて、危険物と身体を遮蔽する防護服を着用

危険地域での滞在時間を最小にし、できる限りの処置をコールド・ゾーンで行う

ゲート・コントロール

被災者とそれ以外の人を区別した上で、被災者について除染の必要性を説明して除染前トリアージに誘導

除染前トリアージ

除染の要否を判断

除染

危険物の体内への取り込みを減らし、二次感染も防止するための作業

脱衣(乾的除染)、シャワー(水除染)、拭き取り除染が基本

CBRNE災害の対応(個人)

CBRNE災害が発生した場合、個人ができる対応はごく限定的です。

何よりも重要なのは混乱せずに落ち着いて安全な場所まで避難することです。

災害発生現場のごく近くにいる場合は、煙・粉塵・危険物で汚染された大気の吸入を抑えるために濡らしたハンカチで口と鼻を覆い、迅速に安全な場所まで避難します。

CBRNE災害における危険物は、空気より重く地面近くに留まることが多いため、できる限り高い位置へ逃げることが有効とされています。

ハンカチがなければTシャツや上着などで代用します。

また、警察などの指示に従うとともに、災害に関する情報を収集してより命の危険が少ない対応を心がけてください。

【参考】