心理的ストレス

災害後の心理的ストレスやストレス反応!被災した子どもに見られる症状は?

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災害の規模に関わらず、災害によって命が危険にさらされるような経験をすると、大きな心理的ストレスを抱え、様々な精神的症状が現れます。

テレビ報道やネットニュースなどでは、被災者が災害後も心理的ストレスや精神的症状を抱えながら生活する様子や、災害後の心理的支援(心のケア)の重要性が話題になっています。

しかし、「災害が被災者の心理状態にどのような影響を与えるか。」については、被災者や支援者など一部の人にしか知られていないのが現状です。

この記事では、災害がもたらす心理的影響(災害後のストレス反応)と、被災した子どもに見られる症状について紹介します。

災害後がもたらす心理的影響(災害後のストレス反応)

私たちは、一人ひとり気質や性格が異なりますし、被災前からそれぞれ違った環境で生活しています。

そのため、個人の内的・外的要因によって心理的ストレス耐性やストレスを感じる条件が違い、ストレス反応の現れ方や時期、レジリエンス(回復力)なども異なります。

災害がもたらす心理的影響(災害後のストレス反応)も個人差が大きいものですが、一般的には、被災直後に現れるものと災害から数週間~数ヶ月後に現れるものに大別することができます。

被災後数時間~数日

命が脅かされる体験による急性ストレス反応(急性期ストレス症状)が起こる

被災後数週間~数ヶ月 心理的ストレスの蓄積により心身の病気になる

被災後数時間~数日:急性ストレス反応(急性期ストレス症状)

被災直後は、急性ストレス反応(急性期ストレス症状)が現れることがあります。

急性ストレス反応とは、災害によって命が危険にさらされた恐怖や、再び同じ目に遭うかもしれない不安を抱いてパニック状態に陥ることによって現れる諸症状のことです。

急性ストレス反応の現れ方は一人ひとり異なりますが、身体的反応、精神的反応、情緒的反応、行動的反応のいずれかまたは複数が現れます。

急性ストレス反応(急性期ストレス症状) 
身体的反応 動悸、過呼吸、異常発汗、頭痛、下痢・便秘、頻尿、食欲減退、不眠、心身症など
行動的反応 過活動、イライラ、不適応行動など
精神的反応 解離、入眠困難、感覚鈍麻、注意力減退、集中力低下、悪夢、フラッシュバックなど
情緒的反応  錯乱、不安、恐怖、感情鈍麻、怒り、悲嘆、無気力、罪悪感、悔悟、自己評価低下など

東日本大震災の被災者に話をうかがったところ、「様々な感情を抱いているはずなのに、感情がリアルに感じられなかった。」、「誰に何を言われても、騒がしくなっても、どこか非現実的でうまく反応できなかった。」など、解離症状と思われる症状があったと話す人が少なくありませんでした。

一方で、「被災してから数週間は、自分も周りも生き延びることに必死で、心理的ストレスは強かったが周りと一緒に頑張ろうと思えていた。」という話も多く、そうした前向きな気持ちを持つことで急性ストレス反応が改善された人も多かったようでうs。

被災後数週間~数ヶ月:心理的ストレスの蓄積で心身の病気になる

被災から数週間~数ヶ月が経過すると、疲労が募り、今後への不安が高まり、状況を変えられない無力感にも苛まれるなど、心理的ストレスが蓄積していきます。

しかし、個人のレジリエンス(回復力)、被災の程度、復興支援の進捗具合などには格差があるため、時間の経過とともに被災者間の心理的ストレスの程度には差が開きます。

そして、自力で心理的ストレスから抜け出せず、周囲の支援も得にくい状況に置かれた被災者の中には、孤独感や無力感を募らせて心や身体の病気を発症する人がいます。

心理的ストレスの蓄積による心身の病気
身体の病気 呼吸器、消化器、内分泌系、高血圧など循環器の病気、臓器の悪化、血糖値の上昇など
心の病気 うつ病、躁うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、心身症、適応障害、解離性・転換性障害、心気症、神経症、依存など

心理的ストレスの蓄積により、心の病気になる被災者が多いだけでなく、身体の病気を発症または悪化させる人も多いのが特徴です。

また、被災後に適切な心のケアを受けることができなかった、仕事を失って経済的に困窮した、転居や転職を余儀なくされたなどの理由で、被災から何年も経過した後も環境に馴染めず、アルコールや薬物に依存する被災者も一定数います。

災害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、命の危険にさらされるなど苛烈な体験や強い心理的ストレスが心の傷となり、時間が経過した後もその体験を繰り返し思い出して恐怖や不安を感じたり、不眠などの諸症状が持続したりして、日常生活に支障が出ている状態です。

英語では「post traumatic stress disorder」と表記され、日本語では心的外傷後ストレス障害と訳されますが、一般的には英語表記の頭文字を並べてPTSDと呼ばれています。

PTSDを引き起こしやすいのは地震などの自然災害、事故や事件の被害に遭うこと、家庭内暴力や虐待など、心身に強いダメージを受ける体験です。

PTSDの主な症状は4つです。

症状 具体例
外傷体験を想起させる刺激の回避 被災地などを避ける
フラッシュバック 被災時の感情や身体感覚を伴う被災状況の再現、悪夢など
ネガティブな思考と気分 不信感や自責の念が強まるなど
過覚醒 集中力低下、イライラ、過剰反応、入眠困難など

PTSDの症状は、本人のレジリエンス、周囲のサポート、置かれた環境などの影響を受けるため、被災から数ヶ月が経過しても症状が継続したり、被災から数年後に症状が現れたりするなど、個人差が大きいものです。

災害が子どもに与える影響

災害がもたらす一般的な心理的影響について紹介しましたが、今度は、子どもへの影響に特化して見ていきましょう。

災害が子どもに与える影響

子どもは、大人よりもストレスに敏感ですが、ストレスを感じてもうまく表現したり発散したりする力が未熟です。

そのため、大人よりもPTSDなどの心理的影響を受けるリスクが高く、回復に時間がかかる傾向があります。

被災した子どもには、以下の症状が見られることがあります。

  • トイレや食事など、被災前にできたことをしなくなる
  • 親から離れられなくなる
  • 親と離れると強い不安を感じて泣き出す
  • 自分で処理できないことが増え、すぐ親に頼る
  • 爪かみや指しゃぶりなどの癖が再発する
  • 夜泣きが始まる
  • 明かりを消すと寝られない
  • 頭痛を訴える
  • 視覚異常や聴覚異常を訴える
  • 吐き気を訴える
  • 拒食または過食
  • 便秘・下痢
  • 落ち着きがなくなる
  • 集中力が低下する
  • 注意力が散漫になる
  • 引きこもりがちになる
  • 好きだった遊びに関心を示さなくなる
  • 被災地や被災状況に似た場面を避ける
  • 被災状況を再現した遊びをする

子ども自身のレジリエンス、周囲のサポート、置かれた環境などの影響により、災害後に現れる症状は個人差があります。

注意したいのは、子どもが被災後も普段と変わらず過ごしているように見える場合です。

繰り返しになりますが、子どもは、ストレスに敏感な一方でストレスを表現・発散する力が未熟です。

そのため、被災して想像を絶する心理的ストレスを抱えているにも関わらず、それを表現することができずに小さな身体に抱え込んでしまうことが多いものです。

そして、何かのきっかけで心理的ストレスが重い身体症状や精神症状として現れ、回復までに相当な時間を要することが多くなっています。

そのため、被災した子どもが普段と変わらないときこそ、子どもの様子を慎重に見守り、災害で受けた心の傷をケアしてあげることが大切です。

【参考】

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