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特殊災害とは?特殊災害の種類と特徴、消防などの対応は?

特殊災害

災害には様々な分類方法がありますが、発生原因で分類した場合、大きく自然災害、人為災害、特殊災害に分類されます。

自然災害が「自然現象を原因とする災害」、人為災害が「ヒューマンエラーを原因とする災害」というのは分かりやすいですが、特殊災害がどのような災害なのかはイメージしにくいものです。

しかし、私たちの周囲では様々な特殊災害が発生し、甚大な被害をもたらしています。

この記事では、特殊災害の概要と特殊災害の種類について解説します。

特殊災害とは

特殊災害とは、戦争やテロ、人為災害や自然災害に伴って発生するCBRNE災害(NBC災害)などの総称です。

例えば、原子力発電所の事故に伴う放射性物質の漏洩、集団食中毒事件、石油コンビナート事故、林野火災など、通常の災害対策だけでは対応が困難で、災害ごとに専門的な訓練を受けた人やチームが対応に当たる必要がある災害と考えると分かりやすいでしょう。

具体的な災害としては、以下のような例を挙げることができます。

  • 1945年:広島市と長崎市への原爆投下
  • 1974年:三菱重工爆破事件
  • 1995年:地下鉄サリン事件
  • 2000年:雪印集団食中毒事件
  • 2002年:宮城県丸森町の林野火災
  • 2003年:十勝沖地震による地震動で発生した北海道苫小牧市内の石油精製事業所の事故
  • 2011年:東日本大震災による地震動と津波の影響で発生した福島第一原子力発電所の事故

この他、世界同時多発テロやボストンマラソン爆破テロ事件など、世界各地で様々な特殊災害が発生しています。

日本においても、特殊災害発生時に備え、消防、防衛省、警察、海上保安庁、医療機関などが対策部隊を設けています。

なお、日本ではNBC災害と特殊災害が同義で用いられることがありますが、一般的にはNBC災害は特殊災害の分類の一つとされています。

特殊災害の種類

主特殊災害の主な種類は、以下のとおりです。

CBRNE災害(NBC災害)

CBRNE災害 Chemical(化学)、Biological(生物)、Radiological(放射性物質)、Nuclear(核)、Explosive(爆発物)に関する災害の総称
NBC災害 N(Nuclear、核)、B(Biological、生物)、C(Chemical、化学)に関する災害の総称

※NBC災害が、軍事用語から派生した性質上、大量破壊兵器などに関連して用いられることが多い一方で、CBRNE災害は、無差別テロや事故、災害などに関連して用いられることが多いものです。

先進諸国ではNBCよりもCBRNEの方が一般的になっていますが、日本の行政などはNBC災害を使用しているところが多いのが現状です。

消防や警察などがCBRNE災害に備えて様々な部隊を設置しています。

機関 部隊等
消防
  • 東京消防庁(化学機動中隊、消防救助機動部隊)
  • NBC災害対応部隊(化学救助隊)
  • 特別救助隊
  • 特別高度救助隊
  • 機動特殊災害対応隊
  • 緊急消防援助隊特殊災害小隊
防衛省
  • 陸上自衛隊化学科 (中央特殊武器防護隊、特殊武器防護隊、化学防護隊、司令部付隊化学防護隊)
警察
  • 警視庁機動隊化学防護隊
  • NBCテロ対応専門部隊
  • NBCテロ対策部隊
医療機関
  • DMAT(災害派遣医療チーム)
  • JMAT(日本医師会災害医療チーム)
  • 都道府県DMAT
海上保安庁
  • 機動防除隊
  • 特殊警備隊
  • 特殊救難隊

CBRNE災害については、別の記事で詳しく解説しています。

CBRNE(NBCR)災害とは?NBC災害との違い、具体例と対応は?

石油コンビナート事故

特殊災害の具体例のところに書いた、2003年の十勝沖地震に伴う北海道苫小牧市内の石油精製事業所の事故が代表的な事故ですが、日本国内だけでも毎年多数の石油コンビナート事故が発生しています。

総務省が公表している「石油コンビナート等特別防災区域の特定事業所における事故概要(平成29年中)」では、2017年度中の事故は合計252件(うち10件で負傷者が出ており、負傷者の合計は15人)となっています。

主な事故内訳は火災130件、漏洩115件、主な発生原因は劣化82件、維持管理不十分42件、操作確認不十分33件です。

石油コンビナート事故は、狭い範囲内に石油などの危険物が大量に保管された場所で発生するため大きな被害が出やすい上、国内のエネルギー供給にも深刻な影響を与えます。

そのため、石油コンビナート等特別防災区域(2017年度時点で32道府県102市町村)には石油コンビナート等防災本部が常設されています。

石油コンビナート等防災本部では、石油コンビナート等特別防災区域における防災計画が作成され、また、災害発生時の関係機関との連絡調整体制などが整備されています。

林野火災

林野火災は、山火事や森林火災ともいい、農作業のたき火、造林目的の火入れ、タバコなどの人為的な原因で起こることが多い災害です。

林野火災が発生すると、森林資源が広範囲にわたって消失する上、近隣地域の家屋などに燃え移って被害が拡大することもあります。

消防庁が公表する「平成29年(1~12月)における火災の状況」では、2017年1月1日から12月31日までの1年間における総出火件数39373件のうち林野火災は1284件、延べ焼損面積は938haとなっています。

林野火災の出火原因は、たき火が402件、火入れが218件、放火の疑いが88件、タバコが58件などです。

また、火災による総死者数1456人のうち林野火災による死者は10人とされています。

こうした結果を受け、消防庁は、林野庁と共同して火災予防意識の啓発、防火水槽などの火災予防対策の強化、毎年の全国山火事予防運動などを行っています。

海上災害

日本の周辺海域では、大量の原油や液化ガスなどがタンカーなどで海上輸送されている他、様々な荷物を運ぶ貨物船、漁船などが常に込み合っています。

また、LPGなど受入基地建設が進んだこともあり、船舶同士の衝突や沈没などの災害が発生し、海洋汚染などが起こるリスクが高い状況にあります。

海上災害対策としては、危険物積載船舶の航行時などの安全確保や石油貯蔵施設の安全確保が図られるとともに、海上災害発生時に迅速かつ的確な防災措置が講じられるような体制が整備されています。

航空災害

航空災害が発生すると、多数の死傷者が出たり被害が広範囲に及んだりするリスクが高く、初期段階における消化・救難活動が極めて重要です。

航空機事故の多くが空港やその周辺で発生していることから、消防庁と国土交通省が、航空災害多発地域の消防の整備促進や、消防機関や空港管理者などとの消火・救難活動に関する協定締結を推進するなどしています。

【参考】