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通電火災(電気火災)とは?原因と事例、消化方法と予防は?

通電火災 電気火災

地震は様々な二次災害を引き起こしますが、その一つが火災です。

地震によってライフラインが断絶し、建物が道路が損壊した状態で火災が発生すると、甚大な被害が出てしまいます。

通電火災は、地震発生時に起こる火災の主な原因の一つであり、政府も通電火災の防止対策促進に力を注いでいます。

この記事では、通電火災の概要と通電火災対策について解説します。

通電火災とは

通電火災とは、電気機器を原因とする火災である「電気火災」のうち、地震の揺れなどの影響で停電した後に電気が復旧することによって発生する火災です。

例えば、以下のような場合に通電火災が発生します。

  • 地震の揺れや建物の倒壊によって破損した電気機器に通電し、漏電やショートが生じて出火する
  • 熱電機器の上に可燃物が倒れたり覆いかぶさったりした状態で通電し、電気機器が作動して出火
  • 倒れた照明器具に通電して発熱し、近くの可燃物が出火
  • ガス漏れが発生している室内で通電して出火

地震発生時は通電火災による二次災害が多発する

大地震発生時に起こる電気火災は、「地震の揺れによって可燃物と電気機器の接触して発生する火災」と通電火災の2種類に大別されますが、通電火災が主な火災原因となるケースも珍しくありません。

神戸市ウェブサイトでは、阪神・淡路大震災発生時には建物火災が157件発生し、原因が特定された55件のうち35件が電気火災(うち33件が通電火災)であったと公表されています。

また、東日本大震災では、本震によって発生した火災111件のうち108件(3件は原因不明)の過半数が、通電火災であったという報告があります(日本火災学会誌「2011年東日本大震災火災等調査報告書」)。

通電火災の怖さと消化方法

通電火災は、他の火災にはない怖さがあります。

通電火災は「無人」の建物内で発生する

通電火災の多くは、近くにいる人が気づいて初期消火を適切に行うことで、容易に消化することができます。

通電火災による火災が後を絶たないのは、無人の建物内で誰にも気づかれずに発生するためです。

地震発生直後の揺れによって発生する火災は、在宅した人や周辺住民が気づき、初期消火をしたり助けを求めたりすることができます。

しかし、通電火災の場合は、地域住民が避難した後に時間差で発生するため、初期消火が遅れます。

また、地震の揺れによって物が散乱した中で出火すると、火が燃え移って短時間で大きな火災となってしまいます。

通電火災に気づいた場合の対応

避難前に通電火災に気づいた場合は、初期消火を行います。

通電火災の消火方法は、以下のとおりです。

【電気機器】

  1. ブレーカーを切る
  2. 電源プラグをコンセントから引き抜く
  3. 消火器がある場合は使用し、ない場合は水をかける

【燃え移った物】

  • カーテン:天井に燃え移るのを防ぐため、引きちぎって床に落としてから消火
  • ふすまや障子:蹴り倒して消火器や水で消火
  • 電気こたつ:布団をめくりあげると空気が入って火の勢いが増すおそれがあるため、布団をめくらず上から消化

必ず、ブレーカーを切ってから消化してください。

通電火災に有効な消化器は、「青いラベル」が貼られた消火器(粉末消火器、強化液消火器)です。

通常の消化器は通電火災の消化に適さないものもあるため、通電火災に備えて1本備えておくと安心です。

人命が最優先

通電火災を見つけたら、できる限り消化に努めるべきです。

しかし、大地震が発生して一刻も早く避難しなければならない状況で、消火活動に時間と手間をとられることは、命を危険にさらすことです。

例えば、大津波が接近している状況で消火活動を続けるのは自殺行為です。

地震発生時に最も優先すべきなのは、自分や家族の命です。

通電火災を発見した場合は、自分や家族が置かれた状況を踏まえ、一刻も早く避難しないと極めて危険な状況であれば、消化よりも避難を優先してください。

通電火災対策

では、通電火災はどのように対策すれば良いのでしょうか。

通電火災対策の基本:ブレーカーを切る

通電火災は、避難する前にブレーカーを落とすことで予防することができます。

ブレーカーを落とすと電気が遮断され、停電が復旧しても電気機器に通電することはありません。

もっと言えば、ブレーカーを切り、電気器具の電源をオフにして電源プラグを抜いておけば、防災対策としてはほぼ完璧です。

しかし、長期出張や帰省のために家を空けるときにブレーカーを切るのとは、事情が異なります。

大地震が発生して強い揺れに襲われ、倒れた家具や割れた窓ガラスなど混沌とした室内を目の当たりにし、家族や近隣住民の悲鳴や大声を耳にして、強い恐怖と不安を感じてパニックに陥った状況で、「通電火災が怖いから、ブレーカーを落としてから避難しよう。」と思うのは難しいのが現実です。

また、揺れの影響でブレーカー付近の壁が倒壊したり家具が通路を塞いだりしていることもあり、物理的にブレーカーを落とすことができない状況に陥ることもあります。

感震ブレーカーを設置する

感震ブレーカーとは、設定値以上の揺れを感知した場合に自動でブレーカーなどの電気を遮断し、通電火災(電気火災)を防止する器具です。

感震ブレーカーには複数の種類があり、価格や電気工事の要否が異なるため、家庭の状況や予算に応じて設置を検討してください。

  • 分電盤タイプ(内蔵型):5~10万円、電気工事が必要
  • 分電盤タイプ(後付け型):2~3万円、電気工事が必要
  • コンセントタイプ:5千円~2万円、電気工事が必要
  • 簡易タイプ:2千円~1万円、電気工事は不要

実際に大地震が発生した場合、避難時にブレーカーを切り忘れたり、ブレーカーを切れない状況に置かれたりする可能性は十分にあるため、事前に感震ブレーカーを設置して備えることが大切です。

感震ブレーカーは、政府が普及啓発を促進しており、住んでいる自治体によっては補助金制度を設けているところがあるため、事前に確認してください。

感震ブレーカーについては、別の記事で詳しく解説しています。

感震ブレーカーとは?価格と補助金は?後付けできる?

【参考】